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3日間の断食で、ずっと太らない体に!?「断食メモリー」を現役医師が解説

2019.10.1

ダイエット効果があることで知られる断食。食べないことで一時的に痩せるだけではなく、その後も太りにくい体になれるということをご存知でしょうか?それは「断食メモリー」が働くからなんです!気になる「断食メモリー」の仕組み、正しい断食方法について、減量外来ドクターの工藤 孝文(くどう たかふみ)先生に教えてもらいました。

断食は痩せるだけじゃない!太らない体になれる!?

――今回は「断食メモリー」についてお聞きしたいのですが、断食って一時的に痩せるだけじゃないんですか?

一定の期間食事を摂らない「断食」は、単に摂取カロリーを減らすダイエット方法の一つだと思われているかもしれませんが、実はそうではありません。

断食をすることで、人間の身体に備わっているさまざまなスイッチがオンになり、体質を改善することができるんです。

例えば、断食を経験すると体が記憶して、太りにくい体質になれます。これが「断食メモリー」と言われるもの。断食メモリーについては、実験からも明らかになっています。

以前テレビ番組でも紹介された、有名なマウスの実験をご紹介します。慶応義塾大学医学部伊藤裕さんの研究チームが行ったものです。

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健康なマウスを2つのグループに分ける

グループAのマウス:通常量のエサを毎日与える
グループBのマウス:最初に3日間の断食を行い、その後3日間は通常量のエサを与えるというサイクルを続ける

1か月間後、高カロリーなエサに切り替え、両グループのマウスに毎日同じ量与える。

<結果>
・グループB(断食を定期的に行ったマウス)は、グループA(断食をしなかったマウス)に比べ、体重の増加が13%抑えられた
・通常のエサに戻してからも3ヵ月以上、グループBのマウスは体質が改善していた

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最終的にはどちらも高カロリーなエサを食べていたにも関わらず、断食を経験したマウスは、太りにくい体質に変化していたのです。

断食のメモリーの仕組み!ケトン体が影響している

消化器官

――断食経験者は、それ以降も太りにくくなる!?すごい発見ですね!でも、どうしてそのような結果になったのでしょう。

人間に備わっている生き抜くための力が作用しています。鍵となるのは「ケトン体」です。
糖質制限ダイエットの一つである、ケトン体ダイエット(ケトジェニックダイエット)にも登場しますよね。

痩せすぎ注意!?「ケトン体ダイエット」の正しいやり方、糖質の摂取量

私たちは通常、ブドウ糖をエネルギー源として生きていますが、何も食べないと8時間ほどで底をつきると考えられています。そこで、新たなエネルギー源として、脂肪が肝臓で分解されてケトン体が生み出されます。

これがケトン体ダイエットで目指す、ケトン体回路、ケトジェニックな状態です。

ケトン体は細胞内のミトコンドリアに働きかけ、エネルギーを効率よく使える仕組みをつくります。

一度、断食を行ってこのような状態を経験すると、ケトン体がなくなっても、ミトコンドリアはこの働きを覚えていて、脂肪をエネルギー源として燃焼し続けてくれます。これが「断食メモリー」の仕組みです。

断食は“若返り”にも効果的な方法

――断食することで回路が変わって、体質まで変化するんですね。ダイエット以外にも良い効果が?

はい。断食を行うと、若返り効果、アンチエイジング効果も期待できますよ。

アメリカ、ウィスコンシン大学での老化研究からも興味深いことが分かっています。

2匹の同じ年齢、同じ環境で育ったサルがいまして、一方は、皮膚のたるみが目立ち毛も抜け落ちている状態。もう一方は、皮膚にハリがあり毛並みも良い状態でした。見た目だけだと年齢が違うサルに見えるほどに、差があります。

この2匹の違いは、食事の量でした。若々しく見えたサルは、通常のエサより30%少ない量を食べてきていたんですね。

日本でも、食事と老化の関係性の研究は進んでいます。金沢医科大学の古屋大祐教授の研究では・・・

30~60代の男性4人に、通常の摂取カロリーを25%制限した食事を7週間継続してもらった結果、”若返り遺伝子”とも呼ばれる、サーチュイン遺伝子が増加していることが分かりました。最大で10倍になっていたそうです。

さらに48時間の断食を行う実験も実施されました。すると、サーチュイン遺伝子の活性化によってつくられるサーチュイン酵素が2~4倍も働き始めることが分かりました。

サーチュイン遺伝子には、活性酸素の発生を抑制、免疫抗体の活性化、細胞の修復といった機能があるとされています。活性酸素は、細胞を傷つけ、シワやたるみを増やし老化の原因となる存在です。がんの元凶とも言われています。

サーチュイン遺伝子は誰もが持っているものですが、普段は眠っています。断食をすることで、スイッチがオンになるのです。

以上のことから、断食はダイエットだけでなく、アンチエイジングにも効果が発揮されると言えます。高級化粧品を使うよりも、食事の食べ過ぎを辞めたり、定期的に断食を取り入れたりすることの方が、若々しくいられる近道のようです。

断食メモリーで太りにくくなる!医師が教える正しい断食のやり方

スムージーを飲む女性

――すごすぎる・・・断食!具体的なやり方を教えてください。

さまざまなやり方がありますが、一般的な断食の方法をご紹介しましょう。

断食のやり方1:1日2リットルの水分補給

生命維持のためには水分は欠かせません。食事から水分がとれない分、1日最低でも2リットル水分補給をしましょう。カフェインやジュースは摂取しません。白湯か水、ハーブティーを口にします。

断食のやり方2:1日数回の栄養のあるドリンクを飲む

断食中は、必要最低限の栄養を補うために、酵素ドリンク、くず湯、梅をほぐしたお湯などを1日数回に分けて口にします。最近では、コールドプレスジュースなども用いられることがあるようです。

断食のやり方3:激しい運動をしない

断食中はエネルギー源が不足しているため、息が切れるような激しい運動は避けましょう。早く痩せたいからと、ジョギングなどの有酸素運動を行うと、不整脈の原因にもなってしまいます。

断食のやり方4:筋肉を働かせる

激しい運動は避けるべきですが、ゆるやかなヨガや体操など、リラックスしながらできる運動は、むしろ取り入れることをおすすめします。

断食中はタンパク質が不足し筋肉が衰えやすい状態なので、筋肉を維持するために体を動かしておくと良いでしょう。屈伸運動やスクワット、かかとの上げ下げなどでも良いですね。軽い運動は、空腹を紛らわせるのにも役立ちます。

断食の成功を左右するのは、回復食!

――断食で体重が減ったけど、またすぐ太ったという話も聞きます!

断食で痩せたり、太りにくい体質を手に入れたりするには、断食後の過ごし方が鍵になります。

断食後、すぐに通常の食事に戻してしまうと体に負担がかかりますし、リバウンドの原因になります。断食しても痩せなかったという方は、この回復期間に問題があると考えられます。

回復期間は、断食と同じくらいの日数もうけましょう。3日間断食したなら2~3日は必要です。

回復期間には、回復食を口にします。重湯、野菜スープ、ヨーグルトなど、消化しやすい流動食から始めます。1食200キロカロリー、1日60キロカロリー程度に抑えると良いでしょう。また断食後は、味覚が非常に敏感になっているので、スープや味噌汁は、薄味にしてくださいね。

ファスティング・断食の正しい回復食メニュー、教えます!

断食メモリーの兆候!?断食中の身体の変化

痩せ体質の女性

――断食の方法は分かりましたが、どんな体調の変化があるかも知っておきたいです。やはり辛いもの?

初めて断食をされると、身体に変化に驚くかもしれません。好転反応と呼ばれることもありますが、吐き気や頭痛、めまいなどが起こることもあります。ただ、2日目以降になってくると人によっては爽快感を得たり、頭が冴えたりすることも。だんだんと体質が変わってきます。

食べないことで、胃腸が休まると、排出機能が高まります。断食中や断食後に、長い期間腸に留まっていた宿便が出ることもあります。

断食初期の体の変化

  • 頭痛
  • 吐き気
  • ふらつき
  • イライラする
  • 熱がでる

断食2~3日目の体の変化

  • 便通が良くなる
  • 味覚が敏感になる
  • 気持ちが前向きになる
  • 頭が冴える

断食メモリーを実現する断食の期間、注意点は?

――太りにくくなれる断食。とても興味がありますが、実際どのくらいの期間行えばよいでしょう?

冒頭にご紹介したマウスの実験では、3日間の断食をとりいれていました。3日間何も食べないというのは、マウスにとっては極限の状態です。4日間行えば死亡する可能性さえあります。しかし、断食期間が1日のみだけでは体質の変化は認められなかったそうです。

つまり、断食で痩せスイッチをオンにし、太りにくい体質を手に入れるには、そのくらい極限の状態い追い込まなくてはいけないということが推測できます。

ただし、断食は正しい方法で行わないと、不調をきたす恐れがあります。必ず医師の指導の元で行ってください。個人で行う場合は、半日(12時間)を目安にしてみてください。断食でも、身体に良い変化が現れるはずです。

何度が行って体が慣れてきたら、最大1日の断食を行ってみても良いでしょう。その際は、回復期間をしっかりもうけることを忘れないようにしてください。

体質改善を目的とする半日断食は、定期的に行うのがおすすめです。疲れた胃腸を休ませる効果もあるので、ぜひ生活の一部に取り入れて継続してみてください。

 

 

断食はただ単にカロリーを制限するダイエット方法ではなく、身体に備わっているさまざまな機能を呼び覚ますことで、体質自体を変えるメソッドだということが分かりました!痩せにくいと感じている方、いつまでも若々しくいたい方には断食はうってつけかもしれません。まずは、定期的な半日断食から始めてみては?

工藤 孝文

福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後、大学病院を経て、福岡県みやま市の工藤内科で診療を行う。2017年よりスマホ診療を導入。日本糖尿病学会・日本東洋医学会・小児慢性疾病指定医。 「ガッテン!」「世界一受けたい授業」「ホンマでっか!?TV」などテレビ出演多数。(工藤孝文 :書籍はこちら

text:common編集部

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