即実践!専門家が教える、トレーニング後に筋肉を増やす入浴方法

トレーニングの後にお風呂に入るのは良くない、という噂がありますが、必ずしもそうとは限りません。むしろ、トレーニング後にお風呂に入ることで効果を加速させることができる可能性も!今回は、スポーツ科学を専門とする筆者が、本当に筋トレの後のお風呂は良くないのかを解説。トレーニング効果を高めるお風呂の入り方もご紹介していきます。
トレーニング後のお風呂はよくないの?
頑張って筋トレをしてたっぷり汗をかいた後のお風呂ほど、気持ちのいいものはないですよね。しかし「トレーニング後にお風呂に入るとよくない」なんていう噂を聞いたことがないでしょうか?
せっかくトレーニングを行ったのに、お風呂に入ることでそれが台無しになるなら、お風呂に入るのをためらってしまうかもしれません。
結論から言うと、その心配はありません!!!
トレーニング後にお風呂に入ることでむしろトレーニングの効果を高められる可能性があるのです。今回は、スポーツ科学を専門とする筆者が、トレーニング後のお風呂のおすすめの入り方を紹介していきます。
トレーニング後のお風呂がよくないと言われる理由
なぜトレーニングの後にお風呂にはいるとよくない、と言われることがあるのでしょうか。それは、筋肉の修復が遅れることが懸念されるからです。
しかしそれは、激しいトレーニングを行ったときに限ったことだと思います。負荷をかけ、徹底的に追い込むようなトレーニングをしたには、筋肉はダメージを受けた状態です。そこで熱いお風呂に入り体を温めてしまうと、筋肉の修復に悪影響があるかもしれません。
また脱水も心配です。激しいトレーニングを行って十分な水分補給をしないまま入浴してしまうと、くらくらしたり、倒れてしまったりする危険性があります。
これらのことから、トレーニング後のお風呂はよくないと言われることもありますが、通常のトレーニング内容であれば問題ありません。入浴の際は、しっかりと水分補給をしてから入ると良いですね。
HSP(ヒートショックプロテイン)入浴法でトレーニング効果アップ!?
先ほどお伝えした通り、お風呂に入ることで、むしろトレーニング効果を高めることができます!簡単にその理由をご紹介しましょう。
鍵となるのが、「ヒートショックプロテイン(Heat Shock Protein : HSP)」というタンパク質です。HSPは、体温を37℃以上に保つことで増加します。そのため、熱めのお風呂に入ることで効果的なのです。HSPが増えると体内では様々な変化が起こります。
その一つが、筋肉の合成の促進です。
筋トレを行うと筋肉の合成が行われますが、そこでお風呂に入ることでHSPが活性化され、筋肉の合成を促進することができ、より効率的に筋肉を増やしていくことができるのです。
また、HSPはミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官にも有効に働きます。ミトコンドリアは体内でエネルギーを作る役割を担っており、持久力と深く関連があります。ミトコンドリアが減ると、疲れやすくなると言われています。
運動後に熱めのお風呂に入ることで、ミトコンドリアの生合成を促進させることができ、疲労を取り除くことに繋がります。
このように、トレーニング後にお風呂に入ることでトレーニングの効果をより引き出すことができると考えられます。
トレーニング効果を高めるHSP入浴法の始め方
それではトレーニング効果を引き出すために、どのようなことに注意してお風呂に入ればよいのでしょうか。ここからは、トレーニング後に実践してほしいHSP(ヒートショックプロテイン)入浴法のやり方を紹介していきます。
いつも何となくお風呂に入っていた方はこうしたことに気をつけるだけで、トレーニングの効果を高められるかもしれません。
HSP入浴法の準備
まずは、水を準備しましょう。HSPを活性化させるには、熱いお湯にある程度の時間浸かっている必要があるので、こまめに水分補給をしないと脱水症状を起こす可能性があります。ただしキンキンに冷えた水はNG。体温を保つために、常温の水にしておきましょう。
また、HSP入浴法ではお風呂から上がった後は体を温かい状態で保つことが重要となります。あらかじめ、タオルとパジャマの準備もしましょう。せっかく体が温まっても、すぐに冷めてしまったらHSPの効果を十分に得られません。
HSP入浴法の温度は42℃
お風呂に入る際に注意したいのは、お風呂の温度です。お風呂の温度が低かったらHSPが活性化されないので、トレーニング効果を高めることができません。
お風呂の温度は42℃を保ちましょう。少し熱く感じるかもしれませんが、入れなくはない温度です。この温度で入ることで、体の中のHSPを十分に活性化させ、トレーニングの効果を高めることができるのです。
HSP入浴法は、しっかり肩まで浸かる
お風呂の温度と一緒に注意して欲しいのが、お風呂の入り方です。半身浴のようにみぞおちまでしかお湯に浸かっていないと、十分に体内の温度を上げることができません。
せっかく熱いお湯に浸かっても、体内の温度が上がらないとHSPは活性化されません。体の温度を上げるためにも、しっかりと肩までお湯に浸かるように意識しましょう。
HSP入浴法の入浴時間は10分以上
お湯に浸かってすぐに体の温度は上昇しません。お湯に浸かってから体の温度が上昇するまでに10分程度はかかります。そのため、お湯に10分は浸かるように意識しましょう。
トレーニング効果を高めるHSP入浴法を極める!
ここまでご紹介したのは、初心者でも取り入れやすいHSP(ヒートショックプロテイン)入浴法のやり方。もっと忠実に取り組みたい!という方は、以下のことを行いましょう。
HSP入浴法は体温37℃以上を保つ
お風呂に入りながら舌下で体温を計ってみましょう。HSPは体温を37℃以上に保つことで増加するので、37℃以下にならないように意識しながら入浴してみてください。
HSP入浴法後は10~15分保温する
トレーニング後はさっとお風呂に入ってすぐに涼みたくなりますが、HSP入浴法の効果をしっかり得たいならそこはぐっと我慢。服を着て濡れていないタオルにくるまり、10~15分体を保温しましょう。
夏でもできるだけ冷房をかけずに、高い体温を10分間程度はキープしてみてください。
トレーニング後のHSP入浴法の注意点
トレーニング後は体力を消耗しています。長時間の入浴は体の負担になるので辞めましょう。水分補給をしながら、10~15分程度体を温めてみましょう。
また、炭酸ガス系の血行促進効果のある入浴剤を使用の場合は、42℃ではなく、40℃を目安にしましょう。
体調がすぐれない、頭がくらくらするといった変化を感じたときは、無理をせず中断してくださいね。
トレーニング後のお風呂で効果倍増を狙え!
今回は、トレーニング後にお風呂に入ることでどのようなことが起きるのかを紹介してきました。トレーニング後のお風呂はよくないと言われることもありますが、HSPというタンパク質を活性化させる入浴方法ならトレーニング効果を高められます!トレーニング後にお風呂に入ることがあるときは、ぜひ取り入れてみてください。
監修・執筆:中野卓
大学では栄養学、大学院では運動生理学を専攻。現在はスポーツ科学の研究に携わる。プライベートでは筋トレが日課。ダイエットやトレーニングに関する情報を発信していく。