糖質制限で老ける?若返る?一番キレイで長生きできる糖質量はコレ

最近実践している方が多い糖質制限ダイエット。その効果を実感している方も多いかもしれませんが、一部の医師からは反対の声も挙がっているようです。ここでは、栄養学とスポーツ科学を専門とする筆者が糖質制限で体に起こる変化や、一番キレイで健康でいられる糖質量は一体どれくらいなのかを紹介していきます。
糖質制限は本当にいいことなのか
「糖質制限ダイエット」という言葉を頻繁に耳にすることが多くなったと思います。周りにも糖質制限ダイエットで痩せた、という方がいるのではないでしょうか。
そんな糖質制限ですが、実はその方法に反対する医師や研究者なども多くいるのです。
今回は、栄養学とスポーツ科学を専門とする筆者が、糖質制限が悪いと言われている理由や糖質制限で痩せられる理由、美しくいるために大事な糖質摂取量を紹介していきます。
糖質制限で老けることが研究でも明らかに!
糖質制限が健康やダイエットに悪いと言われている理由の一つとして、糖質制限で老ける、ということが挙げられます。
このことは、マウスを使った実験で示されています。マウスに糖質制限と同じような食事を与えると、通常の食事を与えたマウスと比べて皮膚が薄くなり、毛がカサカサになるという結果になりました。つまり、糖質制限で老化が促進されることが分かったのです。
糖質制限で老けるメカニズム
糖質制限で老化が進む原因としては、いくつかのことが考えられます。
まず、体は血糖値を維持するために、糖新生という代謝を行います。食事から糖質を補えていればこの経路は働きませんが、糖質制限を行うと食事から摂取する糖質の量が減り、糖新生が促進されます。
糖新生では、皮膚や筋肉などを構成するタンパク質を分解することで糖質が作られます。つまり、糖質制限を行うと肌を作るたんぱく質が分解されるので、皮膚が薄く、質の悪い肌になってしまいのです。
また、糖質は体内で「グリコーゲン」という形で蓄えられています。グリコーゲンを蓄える際には同時に多くの水分も蓄えます。しかし、糖質制限を行うと「グリコーゲン」が減ってしまい、同時に水分も減り、お肌がカサカサになってしまうのです。
過度な糖質制限をしていると、肌がボロボロになります。人よりも早く老化が始まってしまうかもしれません。
糖質の摂りすぎも老化の原因に・・・
それでは糖質制限を辞めてたくさん糖質を食べればいいのか、というと、そうでもありません。糖質を摂取しすぎるのも老化の原因になります。
『糖化』という言葉を聞いたことがないでしょうか。糖化とは、糖質とタンパク質が結合する反応のことを言います。
糖化が起こると、糖質が結合したタンパク質は機能を失い、細胞がどんどん衰えていきます。糖質を摂取しすぎるとこの糖化反応が促進されてしまい、老化が進んでしまうのです。
糖質を摂りすぎている方の場合は、ゆるい糖質制限を取り入れた老化防止には効果的です。
老化を防ぐ!最適な糖質量の目安は50%
それでは、老けないためには、一体どれくらい糖質を摂取するのがよいのでしょうか。結論から述べると、1日のエネルギー摂取量の50%を糖質から摂取すべきです。
この50%という値は、25年に渡って15000人もの人を対象にした研究からきているので、かなり信頼度の高い数字だと思います。
この研究では、主に糖質の摂取割合と死亡率との関係を調べました。その結果、糖質の摂取割合が50%の人の死亡率が最も低く、それ以上でもそれ以下でも死亡率は高くなるという結果になりました。
特に糖質の摂取量が20%の人の場合、50%の人と比べると死亡率が1.5倍にもなっていました。こうした研究結果から、糖質の摂取量は50%が理想的と言えます。
この研究では死亡率が導きだされていますが、これは健康な身体でいること(老化しないこと)にも関わっていると考えられます。
ダイエット目的でも糖質量は50%!?
健康的に過ごしたい場合は、糖質の摂取量が50%になるように調整するのがよい、ということが分かりました。それでは、目的がダイエットの場合、糖質の量はどのように考えればよいのでしょうか。
結論から言うと、ダイエットが目的の場合であっても糖質の量は50%を目安にに設定するのが良いです。
1日の摂取カロリーの半分が糖質と考えると、多いのでは?と感じるかもしれませが、長期的に見て健康的に痩せられる方法でダイエットを行うには、この数値が適切だと思います。
ダイエットするなら摂取カロリーに注目
ダイエットが目的の場合は、糖質量以上に、トータルのエネルギー摂取量が重要となります。摂取カロリーが消費カロリーを上回らないように意識しましょう。
一般的な女性の場合、1日に消費するカロリーは約2000kcalです。そのため、摂取カロリーが2000kcalを上回らず、糖質からのカロリー摂取量が50%、つまり800〜900kcalになるように意識しましょう。
糖質の量としては200〜230gとなります。意識していないと1日に300gくらい糖質を摂取してしまうので、糖質を気持ち少なめに食べるように意識しましょう。
糖質制限で痩せられるのは糖質を減らしたことで、トータルのエネルギー摂取量が減少したため、というケースが多いです。厳しい糖質制限を行うとケトン体が作られ脂肪の燃焼回路が変わりますが、それはストイックに行ったほんの一部の例です。
老けないために。糖質量50%にする方法
日本人は、普通の食生活を送っていると糖質を60%摂取していると言われています。最適な糖質の量は50%なので、いつもの食事より少し糖質を減らす工夫をしてみましょう。
具体的には、夕飯だけご飯を抜く、朝食に食べているパンを低糖質パンにする、パンの代わりにスクランブルエッグなどタンパク質源を増やす、といった方法が挙げられます。
また普段から甘いスイーツや飲み物を常用している方は、老けやすいので注意していきましょう。
糖質は適度に摂取するのが正解!
今回は、最近話題になっている糖質制限ダイエットについてご紹介しました。最も長生きできる糖質の量は、エネルギー摂取量の50%という研究結果がでています。日本人は、エネルギー摂取量の60%を糖質から摂取しているので、糖質を気持ち少なく摂取するのがよいですね。ダイエットも大切ですが、やはり健康に生きることも大切です。糖質の減らしすぎは老ける原因にもなっています。健康で美しい体のために、最適な糖質の量を知り、食事を調節していきましょう!
text:中野卓
大学では栄養学、大学院では運動生理学を専攻。現在はスポーツ科学の研究に携わる。プライベートでは筋トレが日課。ダイエットやトレーニングに関する情報を発信していく。