30代女性は10人に1人。気づかないから怖い「脂肪肝」とは?

男性に多いと思われがちな肝臓の病気「脂肪肝」ですが、実は女性でも脂肪肝になることはあります。決して他人事ではないですよ。今回は、栄養学とスポーツ科学を専門とする筆者が、脂肪肝の正体、予防法についてご紹介していきます。
脂肪肝は他人事だと思ってませんか?
ダイエットで美を磨くことも大切ですが、健康に年を重ねることはより良い人生のためにもっと大事なことですよね。年齢を重ねると共に気をつけたい病気はたくさんありますが、その中に「脂肪肝」が挙げられます。
脂肪肝は肝臓の病気です。肝臓は栄養素の代謝を行ったり解毒を行ったりと、重要な役割を果たしています。そんな肝臓が病気になると当然さまざまなデメリットが・・・。
脂肪肝は男性がかかる病気、というイメージがあるかもしれません。そう思って油断している女性は多いですが、実は女性でも脂肪肝にかかってしまいます。
今回は、栄養学とスポーツ科学を専門とする筆者が脂肪肝とは一体どのような病気か、脂肪肝を予防するにはどうすればいいのかを紹介していきます。
脂肪肝は知らない間に進行する病気
肝臓は、肝細胞というものがたくさん集まってできています。肝細胞は脂肪を蓄えることができるのですが、肝細胞に過剰に脂肪が蓄積した状態が「脂肪肝」です。
肝細胞は、細胞1つ1つが栄養素の代謝や解毒といった働きを担っています。しかし、肝臓に脂肪が蓄積してしまうと、代謝や解毒の機能が正常に働きません。
脂肪肝になったまま放置していると、肝硬変を起こしたり、肝臓ガンにかかる可能性が高まります。
脂肪肝の怖いところは、肝臓の機能は衰えてしまいますが、症状としては現れにくいという点です。症状が現れないので、自分は大丈夫だと思っていても実は脂肪肝だった、なんてことがあるのです。脂肪肝かどうかは、病院で診断してもらう必要があります。
こんな女性は脂肪肝に注意!
脂肪肝というと、男性が発症する病気と考えている方も多いかもしれませんが、実は女性も脂肪肝にかかります。30代女性で約10%が脂肪肝と言われています。
しかも脂肪肝の割合は、歳を重ねるごとに上昇していきます。油断していると脂肪肝になってしまうので「自分は大丈夫」と思っている方こそ注意しましょう。
・太っている
肥満気味の方は特に注意が必要です。脂肪肝は肥満の方に多いことも分かっています。少し太っているかも、と思っている方は脂肪肝ではないか、注意してましょう。
・アルコールをよく飲む(たくさん飲む)
アルコールをよく飲む、という方も脂肪肝になりやすいです。アルコールは肝臓で分解されます。アルコールが肝臓で分解される際には、肝臓で脂肪が合成されやすいので、脂肪肝になりやすいのです。酔いつぶれるまで飲む、二日酔いになるまで飲むという飲み方が習慣化している方は特に危険です。
・アルコールに弱くなった
アルコールが弱くなった、という方も脂肪肝の可能性があります。肝臓の機能が著しく低下しているせいかもしれません。
・疲れやすくなった
最近疲れやすくなったというのも、肝臓の機能低下によるものである可能性があります。ここ数年で食生活が乱れたことで体重が増え、かつ疲れが抜けなくなってしまったなら脂肪肝を疑ってみましょう。
今日からできる!脂肪肝の予防法
脂肪肝は自覚症状がないので気付きにくいですが、放っておくと肝硬変やガンになってしまいます。そんな怖い脂肪肝を予防する、あるいは脂肪肝と診断された方が脂肪肝を改善するにはどうすればいいのでしょうか。
脂肪肝の予防方法①:毎日続けられる軽い運動を行う
脂肪肝の原因の一つとして、運動不足が挙げられます。運動せずにたくさんたべていると、余ってしまったカロリーが肝臓に脂肪として蓄積され、脂肪肝になってしまいます。
肝臓に溜まった脂肪を減らすには、運動が有効です。また、肝臓に脂肪を溜めないためにも、余分なカロリーを運動で消費していきましょう。
運動をすることは、健康的な体を作り、ダイエットにも繋がります。オススメの運動は、ウォーキングやランニングなど、楽に長い時間続けられる運動が挙げられます。まずは1日30分、体を動かす習慣をつけましょう。
脂肪肝の予防方法②:食べ過ぎを辞める
脂肪肝の原因として、食生活の乱れも挙げられます。食事を食べ過ぎていると、余ったカロリーが肝臓にたまり、脂肪肝になってしまいます。
ついいつも食べ過ぎてしまう、毎日夜食を食べている、という方は脂肪肝になりやすいので注意が必要です。食事の内容を劇的に改善するのは難しいですが、まずは夜食をやめる、間食は少しにする、など改善できそうなところから食生活を見直していきましょう。
脂肪肝の予防方法③:休肝日をつくり、アルコールは適量飲む
脂肪肝は、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝の2つに分けられます。その名の通り、脂肪肝の原因がアルコールによるものかどうか、という分類です。
アルコールを飲むと、アルコールを分解するために肝臓が働きます。アルコールはいわば毒物なので、肝臓に負担がかかり、それが長く続くと肝臓の機能が衰え、脂肪肝になってしまいます。
アルコール性脂肪肝の場合は、アルコールの摂取を抑えるというのが有効です。1日の終わりにお酒を楽しみたい気持ちは分かりますが、毎日飲んでいる方はたまには休肝日を設けるようにしましょう。また、たまにだから・・・と大量のアルコールを摂取するのは脂肪肝の原因に直結します。将来病気にならないためにも、お酒は適量を楽しみましょう。
毎日働く肝臓を労わろう
今回は、歳を重ねると共に気をつけたい脂肪肝について紹介してきました。脂肪肝は、意外にも女性も多くかかっている疾患です!放っておくと肝硬変などの病気へと進行してしまいます。脂肪肝は早期発見が重要となります。より良い人生のために、今回紹介した方法を実践して脂肪肝にならないよう健康的に過ごしていきましょう。
text:中野卓
大学では栄養学、大学院では運動生理学を専攻。現在はスポーツ科学の研究に携わる。プライベートでは筋トレが日課。ダイエットやトレーニングに関する情報を発信していく。