「DASH食」ダイエットがアメリカ支持率NO.1な理由。実践方法もご紹介

アメリカで話題になっている「DASH食」をご存知でしょうか?「DASH食」は健康的に行えてダイエット効果もある、医師や専門家なども信頼を置く食事方法です。健康で美しくいたい女性にはとてもオススメ。今回は、栄養学をスポーツ科学を専門とする筆者が、気になる「DASH食」の効果や実践方法を詳しく紹介していきます。
アメリカで話題のダイエット「DASH食」
さまざまなダイエット方法が溢れていますが、今回ご紹介するのはアメリカで高く評価されている「DASH食」です。
注目されている理由は、“ただ単に痩せるから”ではありません。
糖尿病や心臓病の専門医、栄養士、食生活コンサルタントなどが、あらゆる疾患や減量効果などを総合的に評価して順位付けした「U.S. News & World Report」の中で、DASH食は8年連続1位で選ばれているんです!
医師や食事のエキスパートたちが推薦する、信頼のある食事方法なのです。
このランキングでは、“健康的であるかどうか”も大きな判断基準になっているようで、話題の「ケトン体ダイエット」は最下位となっています。厳しい食事制限は避けるべきだという専門家の意見もあるようです。
今回は、アメリカで支持率の高い「DASH食」とは一体どのようなものでどんな効果があるのか、詳しい実践方法と共にご紹介していきます。
「DASH食」は高血圧予防のための食事
「DASH食」は、「Dietary Approaches to Stop Hypertension」の頭文字を取った略称です。日本語に訳すと「高血圧予防のための食事」ということになります。コレステロールの多い食品を減らし、野菜や果物、低脂肪乳などを中心に食べることで、高血圧を予防するために作られた食事方法なのです。
高血圧は動脈硬化を促し、さまざまな疾患のリスクを高めるものです。血圧が高いとを指摘されたことがある方、親族に血圧が高い人が多いという方には、特におすすめの食事方法だと言えます。
「DASH食」の実践方法・ルール
正式な「DASH食」のルールは、非常に細かいです。まず、食品を「穀類」「野菜」「果物」「低脂肪乳・低脂肪の乳製品」「赤身の肉、鶏肉、魚」「ナッツ、種、豆類」「脂肪」「砂糖」という8つのグループに分けて考えます。そして、自身の摂取すべきトータルカロリーを導き出してから、これらの食品を、決められた割合で食べていきます。
・・・となると大変難しいので、基本的に守るべきルール、推奨されている食材の選び方や食べ方などをご紹介していきます。
DASH食のルール①:野菜・果物を毎日食べる
まずは、野菜と果物を毎日摂ること。
野菜や果物には食物繊維やミネラル、ビタミンが豊富に含まれています。食物繊維は糖質の吸収を緩やかにしたり、満腹感を感じさせたりすることでダイエットに効果を発揮してくれます。
ミネラル、特にカリウムを多く摂取することで高血圧の予防に繋がります。カリウムは体内の余分な水分を排泄してくれる働きがあるので、むくみの解消にも効果的です。小松菜やニラ、ほうれん草、キャベツ、バナナなどにカリウムが多く含まれているので、意識的に取り入れてみましょう。
DASH食のルール②:主食は全粒穀物にする
精製された白いお米やパンなどを辞め、果皮、種皮、胚、胚乳表層部といった部位が残ったままの全粒穀物を主食とします。推奨される理由は、食物繊維やミネラルが豊富なこと、血糖値が上がりにくいことにあると考えられます。
玄米、発芽玄米(玄米を発芽させたもの)、ふすま粉や全粒粉を使ったパンやパスタなどを主食にしましょう。
DASH食のルール③:低脂肪乳にする
低脂肪乳が推奨される理由は、牛乳は動物性の食品であり、高血圧の原因となるコレステロールが多く含まれているからです。低脂肪乳なら、コレステロールの摂取を抑えることができます。また牛乳より低脂肪乳の方がカロリーが低いので、摂取カロリーのカットができダイエットに繋がります。
カフェラテを飲むときにも、低脂肪乳に代えてみましょう。
DASH食のルール④:肉類を辞め、魚にする
肉類にはダイエットの味方となってくれるタンパク質が豊富に含まれていますが、高血圧の原因になるコレステロールも多く含まれています。そこで、「DASH食」では肉類の代わりに魚類を食べることを推奨しています。
魚類には、良質な油である「ω3系脂肪酸」というものが含まれています。この油には、血液をサラサラにしてくれる効果があり、高血圧の予防に効果的です。魚にはタンパク質もしっかり含まれているので、肉類を食べないことでタンパク質不足になるということもありません。
DASH食のルール⑤:塩分・糖分を減らす
塩分や糖分の摂り過ぎは高血圧に直結しています。そのため、「DASH食」では、濃い味付けは控えること、糖質の摂り過ぎを辞めることを意識していきます。
まず、糖質量はいつも食べている量の半分に減らしてみましょう。
糖質量をいちいち計算するのは難しいと思いますので、ご飯茶碗1杯→半分にする、甘いお菓子、ジュースの頻度を減らす(毎日なら3日に1回にする)など工夫してみてください。
DASH食のルール⑥:脂肪分を減らす
コレステロール増加に繋がる脂肪分の摂取を減らしていきましょう。具体的には、揚げ物を辞める、バラ―やオイルの量に気を付ける、脂身のある肉を避けるなどです。
これらを意識すると、外食でのメニューも自然とヘルシーなものを選ぶことになります。
ダイエット効果は?「DASH食」で痩せられる理由
高血圧予防のための食事がなぜダイエット方法としても、注目されているのでしょうか。それには、こんな理由が考えられます。
・野菜を多く食べることで栄養バランスが整う
・野菜や果物、全粒穀物から食物繊維を摂ることで食べ過ぎ&血糖値上昇を防げる
・カリウム摂取&塩分を控えることで、むくみ解消になる
・糖質、脂質を減らすことで摂取カロリーを抑えることができる
高血圧になる食事をしていると必ず肥満になります。ということは、その逆も然り。高血圧を改善する食事をすれば、痩せることができるのです。健康的な食べ方をすると、お腹いっぱい食べてもきちんと痩せることができます。
1日の「DASH食」メニュー
それでは、「DASH食」は実際にはどのようなメニューになるのでしょうか。1日の献立例を紹介していきます。
<DASH食の1日のメニュー例>
朝食・・・ゆで卵、低脂肪ヨーグルト、フルーツ
昼食・・・玄米ご飯、焼き魚、海藻サラダ、低脂肪牛乳
間食・・・アーモンド10粒
夕食・・・サーモンのカルパッチョ、蒸し野菜と豆腐、サラダ、玄米ご飯
ダイエットというと空腹を我慢しなくてはいけないイメージがあるかもしれませんが、この例を見てみると、たいぶお腹がいっぱいになりそうではありませんか?
まずは朝はフルーツ、昼と夜にはたっぷりの野菜サラダを食べる。そしてご飯は玄米にして、肉類を魚に代えてみましょう。これだけでも効果があります。一度ダイエットを諦めた方も、「DASH食」でダイエットに挑戦してみませんか?
高血圧を予防しながら健康的に痩せよう
今回は、アメリカで話題のダイエット「DASH食」を紹介してきました。「DASH食」はもともとは高血圧を解消するために作られた食事ですが、こうした食事はダイエットにもいいことが分かり、話題になっています。健康面を考えた食事内容なので、長い人生を考えても取り入れてみる価値はありそう!ぜひ挑戦してみてください。
text:中野卓
大学では栄養学、大学院では運動生理学を専攻。現在はスポーツ科学の研究に携わる。プライベートでは筋トレが日課。ダイエットやトレーニングに関する情報を発信していく。