【医師監修】GI値より「GL値」が痩せる鍵!今知っておくべき「低GLダイエット」

血糖値の急上昇は脂肪が増える原因になるということは、もう知っている方が多いのでは?血糖値を上げない工夫をすることが、効率良いダイエットに繋がります。その時に役立つ指標としてGI値がありますが、最近ではより実践に取り入れやすい「GL値」が注目されるようになっています。減量外来ドクターの工藤 孝文(くどう たかふみ)先生に、気になる「GL値」について教えていただきました。
低GIダイエットの次は「低GLダイエット」!
――GI値を意識するダイエット方法は一般的になってきましたが、最近「GL値」という言葉も耳にするようになりました。今日は、「GL値」について教えてください!(common編集部)
GI(グリセミックインデックス)について認知度が上がってきているのは良いことですね。欧米では、「GL(グリセミックロード)」の考え方も主流になってきているので、これから日本でももっと身近な存在になっていくと思います。
「GL値」について知ってもらうために、まずはGI値についておさらいしましょう。
ダイエットの鍵を握るGI値
GI値は、その食べ物の炭水化物50gを摂取した際に、血糖値を上昇させるスピードを数値で表したもの。ブドウ糖100gを摂取した時の血糖上昇を100%として計算しているので、白いご飯は84、食パンは91といったように100以下の数字表されます。
GI値が70以上の食品は高GI食品、55以下の食品は低GI食品に分類されます。数値が低ければ低いほど、「血糖値上昇のスピードが遅い=脂肪になりにくい」と考えてよいと思います。
GI値を一覧で示しておきましょう。高GI食品として代表的なのは、白米や白いパン、砂糖を多く使ったお菓子など。精製されていない玄米、全粒粉パンなどは消化スピードが遅くなるため血糖値の上昇が遅くなり、GI値も低く示されています。
<主要食品のGI値>
●穀物・パン・麺類
食パン:91
白米:84
うどん:85
もち:80
ベーグル:75
パスタ(乾):65
クロワッサン:70
コーンフレーク:75
ライ麦パン:58
玄米:55
小麦全粒粉パン:50
日本そば:54
パスタ(全粒粉):50
オールブラン :45
●野菜類
じゃがいも:90
にんじん :80
とうもろこし:70
かぼちゃ:65
さつまいも:55
トマト :30
アボガド:27
ほうれんそう:15
葉野菜、きのこ類、キャベツ、きゅうり、大根、ピーマン、ブロッコリー等:0~25
●果物
パイナップル:65
すいか:60
バナナ:55
ぶどう(巨峰):50
りんご :39
キウイ :35
オレンジ、グレープフルーツ:31
いちご:29
アメリカでは主流?ダイエットの新指標「GL値」とは
――確かに、GI値の高いものを見ると太りそうなイメージのものが多いですよね。でも、意外なものもあるかも。にんじんが、かなり高GI値なのが気になります。
そうなんです。GI値は十分ダイエットの参考になる値ですが、落とし穴もあります。
GI値は、“50gの炭水化物を含んだとき”の血糖値の上場スピードを調べているものです。食べ物によって100g当たりに含まれる炭水化物の量は違うので、違和感が生まれることがあるんです。
GI値とGL値の差が大きい例①:すいか
よく例として挙げられるのが、すいか。GI値は60になっていますが、実際にはほとんどが水分なので、さほど血糖値は上がりません。炭水化物は100g当たりわずか9.5g。むしろ100g中の糖質量は少なく、ダイエットに向いている食べ物だと思います。
GI値とGL値の差が大きい例②:にんじん
気になったという、にんじんのGI値を見てみると80になっていますね。80というとチョコレートケーキ、みたらし団子などと同等の値。チーズケーキやアイスクリーム、シュークリームより高い値になっていることが分かります。感覚的にも、にんじんがチョコレートケーキより血糖値を上げやすくて太りやすいのは疑問に感じるかと思います。
これも、その食べ物の炭水化物50gの血糖値上昇スピードを純粋に比べた結果、起こることです。
にんじん1本に含まれる炭水化物は12~15g程度で、GI値の基準となる50gを摂取するとなると、4本くらい食べなければなりません。日常でにんじんを4本一気に食べるということは無いですよね。
一食分当たりに含まれる炭水化物の量を考えれば、チーズケーキの1個の方が明らかに血糖値が上がりやすいです。
説明が長くなりましたが・・・そこでアメリカを中心に用いられるようになったのが、「GL(グリセミックロード)」の考え方です。
「GL値」は、GI値にその食品の標準摂取量当たりに含まれる炭水化物のグラム数を掛け、100で割って求められた値です。計算式は以下の通り。
<GL=各食品の標準摂取量に含まれる炭水化物の量[g] × GI ÷ 100>
「GL値」は、20以上は高GL食品、10までが低GL食品とされています。例えば、にんじんのGI値は80で高GI食品ですが「GL値」は2で低GL食品。すいかのGI値は60ですが、「GL値」は4で同じく低GL食品です。
GI値・GL値の違いとは
ーーう~ん、分かったような分からなような・・・結局は何が違うんですか?
簡単に言えば、GI値は、その食べ物に含まれる炭水化物の“質”について調べられたもの。「GL値」は、その食べ物中に含まれる炭水化物の“量”について考慮したものだということです。
「GL値」では、標準摂取量を計算に用いているので、“この食べ物を一食分食べたら血糖値がどうなるか”ということが分かるようになっています。「GL値」の方が、より実践に活かしやすい数値だと思います。
だからこそ、欧米では主流になってきているんですね。
~GI値・GL値の違いまとめ~
■GI値
・食品の炭水化物50gを摂取した際の血糖値を上昇させるスピードを表した数値
・食べる量については考慮されていない
■GL値
・GI値に標準摂取量当たりに含まれる炭水化物のグラム数を掛け、100で割った数値
・おおよそ一食分の血糖値上昇スピードが分かりやすい
低GLダイエットを成功させるには
――なるほど!ダイエットするなら、「GL値」を参考にした方が便利ですね。「GL値」をダイエットに活かすなら、どうすればいいですか?
大事なのは、なんとなくで良いので感覚を身につけること。
白いご飯やパンは血糖値が上がりやすいから、せめて雑穀米やライ麦パンにしよう。葉物野菜、きのこ類は低GL値で血糖値があがりにくいから、食事の最初に食べよう、多めに食べようという選択ができるようになるといいと思います。
あとは、血糖値があがりにくい食事の仕方も大切です。以前ご紹介した、肉を先に食べる「肉食ダイエット」も、食後の血糖値上昇を抑える方法の一つです。高GL食品をなるべく最後に食べるようにしてみましょう。
▽【医師監修】肉を食べて痩せる!正しい肉食ダイエットの方法や痩せるポイントとは
工藤先生にダイエットに関係する「GL値」について教えていただきました。GL値はGI値より、より実践に活かしやすい数値だということが分かりましたね!中には、GI値とは全く違う結果になる食べ物もあるということを覚えておきましょう。血糖値を意識すれば、よりダイエットは効率的に進みます。ぜひ参考にしてみてください。
text:common編集部